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在宅での緩和ケア①

こんにちは。

本日は当院で行っている、在宅医療における緩和ケアについてお話したいと思います。

 

まず緩和ケアの定義ですが、「生命を脅かす疾患による問題に直面している患者と家族に対し、身体的問題/心理社会的問題/スピリチュアルな問題を早期に発見し的確に対処することにより、苦痛を予防し和らげることで生活の質の改善を目指すアプローチ」とされています。文字にすると難しく感じますね。

 

私なりにシンプルに言い換えれば、「病気が原因で起こる様々な問題に対処することで、苦痛を少しでも取るためのケア」ということです。

「生命を脅かす疾患」の代表格は「悪性腫瘍」いわゆる「がん」です。他に末期の呼吸器疾患(COPDや間質性肺炎等)、心不全などがあります。

では身体的問題/心理社会的問題/スピリチュアルな問題とは何でしょうか?

身体的問題とは、上記の疾患により引き起こされる様々な症状のことです。例えば、「痛み」「息苦しさ」「だるさ」などです。これは医療と結び付けやすく、イメージしやすいと思います。

心理社会的問題とは?? これは例えば経済的な問題や、周囲との関わりの中で生じる苦痛です。例えば「私がいなくなったら残された家族の生活費をどうしよう」「残された家族はどれだけつらい思いをするだろう」「やり遂げたかった仕事があるのに、達成できないかもしれない」といったことです。

では、スピリチュアルな問題とは?? これはイメージしにくいかもしれません。「亡くなることにより私の魂や意識はどうなるのか」「天国に行けるのだろうか、地獄だったら嫌だな」といった、やや哲学的・宗教的な内容を含みます。

生命の危機に立たされた方は、程度の大小はあれど上記のような問題に直面し苦しまれます。これらの問題を少しでも和らげようとする試みが緩和ケアということになります。

前置きが少し長くなってしまいました。次の記事で当院で行っている緩和ケアについてお話できればと思います。

今後とも宜しくお願いいたします。

 

西宮市の訪問診療 ケイ往診クリニック

医師 松原 翔