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在宅療養を支えること

こんにちは。

ケイ往診クリニック医師の松原です。

本日は在宅医療を受けられる患者さんではなく、それを側で支えるご家族や介助者の方に焦点を当ててお話してみようと思います。

「親しい家族の療養を支える」、そう一言で書けば当たり前のことだと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は在宅療養する患者さんと生活することはエネルギーを要することだと思います。私自身としても、私の身近な人が在宅療養しており、その介助者の苦労と疲労を直にみてきました。

「親しい家族なので自分が頑張りますから、療養に関することは私に任せてください。」そうおっしゃるご家族に何度もお会いしたことがあります。そのたびに心に不安がよぎります。

誤解を恐れずに単刀直入に言います。

 

「頑張りすぎないでください。」

 

親しい間柄だからこそ距離感を誤ると本当に疲れてしまいます。いわゆる「介護疲れ」です。

全てを完璧にやらなくてもよいし、患者さんの要求にすべて応える必要はありません。心から信頼している人であったとしても冷たく当たってしまう、憎悪の気持ちがわいてしまう、もしもこういったことがあればあなたは疲れているかもしれません。一番避けたいことは患者さんとご家族の共倒れです。

大切なご家族と長く関係を保ち過ごすために大切なことは「ほどよい距離感」だと切に思います。

今日は疲れ切ってしまわないためにお勧めしたい、在宅療養を支える人をお伝えしたいと思います。

 

まず一人目は、代わりになって療養を支えてくれる人です。

例えば、患者さんの食事を代わりに作ったり、移動のお手伝いをしてくれたり、身の回りのことをしてくれる人です。

もし介護保険をお持ちでしたらケアマネージャーさんに相談してみてはいかがでしょうか。

在宅療養は医療と介護の両輪で回ります。我々医師は医療についてのプロフェッショナルですが、ケアマネージャーさんは在宅療養や介護のプロフェッショナルです。きっといい相談に乗ってくれると思います。

 

二人目は、知らない情報を教えてくれる人です。

患者さんが今後どういった経過をたどるのか、どういった治療方針になるのか、その結果生活がどのように変わるのか、どういったケアをすればよいのか。

我々医師や看護師、訪問薬剤師に相談してください。我々が持てる情報は全てお伝えします。

 

三人目は、気持ちを吐き出せる人です。

ここの部分が今日もっとも言いたかったことです。先にも書きましたが在宅療養を支えることはエネルギーを必要とします。時には患者さんに憎しみに近い感情を抱いてしまったり、介護のつらさを吐き出したいこともあるでしょう。ですが、迂闊に周囲に気持ちを漏らしてしまうことで「家族のことを悪く言うなんて。」という目で周囲からみられるかもしれないと悩んだり、家族や介護についてネガティブな感情を持ってしまうことに対して自己嫌悪を感じてしまう方が多いように思います。

私の個人的な意見ですが、いくら身近な人でもツラい時にネガティブな感情が湧いてしまうのは自然なことだと思います。それを上手に吐けない方は、そのつらさを投げてしまえる人を見つけてみてはいかがでしょうか。

例えば、我々医療者です。ヘルパーさんやケアマネージャーさんもサポートをしてくれると思います。

つらい気持ちはさっさとサポーターに手放してしまいましょう。弱音や愚痴は吐いてもいいんです。

 

それでもダメなときは?? その時は物理的に距離をとってみるのはどうでしょうか?

介護保険を使える方はショートステイ、医療要求度が高い方はレスパイト入院など利用できる制度を利用して心をリフレッシュさせてみてはいかがでしょうか。

 

ちなみに私の知っている患者さんとご家族でこんな方がいらっしゃいます。

ショートステイやレスパイトを始める前は口を開けば言い争いでまともな会話もなかったのに、ほどよい距離感を見つけてからは笑顔で思いやりが溢れています。

喧嘩ばかりの姿ばかり見ていましたが、この素敵な関係が療養を始める前の本当のお二人なんだろうとしみじみと感じました。

 

本日もありがとうございました。

少しでも在宅医療への理解に繋がればと思い、本ブログで情報発信をしています。本ブログを読まれて不快な思いをされる方がいらっしゃるかもしれませんが、どうかご容赦ください。

 

西宮市の訪問診療、在宅医療、往診 ケイ往診クリニック

医師 松原 翔